子供にスマホを与えることに罪悪感を感じる必要はあるのか
育児に関して、何かと悪者にされがちなスマホ。
代表的なものとしてはこのあたりが有名でしょうか。
子育て:自分の時間ほしい “スマ放置ママ”6割 - 毎日新聞
特に下の記事などは、「スマ放置」など悪意丸出しの見出しになっています。
このため、子供にスマホを与えることに罪悪感をおぼえる人も多くなってしまうのでしょう。
しかし、現在育児に携わっている人はスマホのありがたさが身に染みている人も多いでしょう。
この記事では、スマホと育児に関して考えてみます。
昔から新しいものは悪者扱いされがち
日本だけの傾向なのかどうかわかりませんが、昔から新しいものは悪者扱いされがちです。
我々世代が子供のころは「ゲーム脳」などと言われていましたし、赤ちゃんの頃には「紙おむつを使うと精神の発達が遅れる」などと言われていたりもしたようです。
「漫画を読むと馬鹿になる」なんていうのもありましたね。
テレビが普及し始めたころは「テレビを見ると馬鹿になる」とも言われていたようです。
さらに時代をさかのぼれば「小説を読むと馬鹿になる」なんて言われていた時代もあったのだとか。
こうした極端な例を見ると、新しいものは常に悪者にされてきたということがわかるでしょう。
スマホも、今は新しいからこそ標的にされているだけなのです。
スマホの悪影響は証明されていない
上記で紹介したスマホに子守りをさせないでというポスターのは、日本小児科学会が呼びかけているものです。
お医者さんがいうのだから、やはりスマホは悪いものなのだと考えてしまうのも無理はないことですよね。
しかし、上記のポスターに決定的に欠けているものがあります。
それが「根拠」です。
子供にスマホを見せることは良くないと書かれているだけで、それがなぜ良くないのかということがまったくわからないのです。
スマホを見せる代わりに絵本を読んだり外遊びをしましょうと推奨されていますが、外遊びでは全く違う刺激が与えられるのは分かりやすいとして、絵本を読み聞かせることとスマホを見せることにはどのような違いがあるのかという点が解説されていません。
これでは、ただスマホを悪者にしたかっただけと言われても仕方がないのではないでしょうか。
そもそも、スマホが本当に子供に悪影響を及ぼすかどうかということは証明されていません。
総務省の調査では、スマホの普及率を調べ始めたのが平成22年。
その時の普及率は10%未満でした。
出展:総務省|平成27年版 情報通信白書|インターネットの普及状況
平成22年と言えばたった6年前。
スマホで子育てをされた世代はまだ大人になっていません。
何を根拠にスマホは子供に悪影響だと言われているのでしょうか。
理系の集団であるお医者さんだからこそ、むやみに罪悪感を与えるような方法ではなく、きちんとした根拠を示してほしかったなと思います。
もちろん、スマホをあたえられた世代が大人になっていないからこそ、スマホは子供にとって完全に無害だと言い切ることもできません。
影響が心配だから子供にはスマホを与えないという方針もあって良いのです。
しかし、その方針は親が決めることであって、他人が口を出すことではありません。
まして、お医者さんという権威のある立場から発言するのであれば、きちんとした根拠を示すべきなのではないかと思います。
根拠なき提言は、ただ罪悪感を与えるだけの材料にしかなりません。
便利なものを取り入れるのは悪いことではない
なぜか日本では、楽をすることは悪いことだと思われています。
しかし、楽をすることは悪いことではありません。
スマホを与えることで、子供が騒いではいけないシーンで静かにしていてくれたり、保護者がお茶を飲んだりトイレに行ったりする時間が取れるのならば活用するのは悪いことではありません。
スマホを子供に与えるのは悪いことだけではありません。
メリットだってたくさんあるはずです。
そのメリットが考慮されず、デメリットだけをことさら強調されるのであれば、育児なんて何もできなくなってしまうでしょう。
例えば、外遊びでは車にひかれてしまうリスクがありますよね。
外遊びをした分だけ机に向かう時間が減ることになりますから、学力が下がってしまうかもしれません。
みんなそうしたメリットとデメリットのバランスを考えながら取捨選択をしているのです。
そもそも「ママ」だけが罪悪感を感じなければいけない理由は?
上記で紹介した子育て:自分の時間ほしい “スマ放置ママ”6割 - 毎日新聞に関しては、ママだけが調査対象となっていることにも疑問があります。
赤ちゃんは、大人が2人いなければ生まれることはありません。
なぜ、育児はママが担うものという前提になっているのでしょうか。
また、家庭内の分担として育児はママが担うと決まっていたとして、ママが自分の時間が欲しいと思うのはいけないことなのでしょうか。
思うに「自分の時間が欲しい」という言葉のとらえ方も、育児をしているか否かによってイメージが変わるのではないでしょうか。
育児中の人がいう「自分の時間が欲しい」は思いっきり趣味に没頭したいとか、そういうことではありません。
おなかが痛いときくらいは気兼ねなくトイレにこもりたいとか、食事くらいは食べておきたいとか、言い換えれば「人間らしい生活がしたい」ということです。
多くのパパは、仕事中でもトイレに行けるでしょうし、昼休みにはゆっくり食事をとることもできるでしょう。
家庭で育児をしているママは、「時間がないからカップラーメンでも」とお昼寝の時間を見計らってお湯を入れたとたんに泣かれ、ずるずるに伸びたラーメンを食べるなんてことは日常茶飯事なのです。
子供の相手をしていたら手が離せず、トイレにも行けず食事もできずという日だってそんなに珍しいわけではありません。
平日の日中だけならともかく、パパが忘年会で遅くなるなんて言われた日にはその疲労感たるや...。
スマホを使ってトイレや食事の時間を確保するのも「自分の時間がほしい」という非難めいた言葉で表現されてはたまったものではないというのが本音です。
スマホ「だけ」に子守りをさせるのは考えもの
ここまでスマホ育児について擁護するような記事を書いてきましたが、スマホ「だけ」に子守をさせるのは考え物です。
朝から晩まで、スマホをあたえて声掛けもせず、人との交流も外出も全くなしというのではまずいですよね。
しかし、これはスマホだけに限ったことではありません。
おもちゃだろうが絵本だろうが、与えっぱなしでそのままひたすら放置というのでは良くないのは当然です。
しかし、そんな育児をしている人はまずいないのではないでしょうか。
食事やお風呂、睡眠などの時間を確保したうえで、その他の時間のうちの一部でスマホを利用するくらいならば、それほど長い時間にはならないのではないでしょうか。
大人が思うほど子供はスマホに夢中にならない
スマホを使う時間があまり長くならないのにはもうひとつ理由があります。
子供は、大人が思うほどスマホに夢中になりません。
気が付いたら途中で眠ってしまっていることもありますし、ほかのおもちゃに興味が移っていることもあります。
子供にとって、スマホとはちょっと面白いおもちゃの1種でしかありません。
ある程度の年齢になると依存症のようになってしまうこともあるのかもしれませんが、スマホがなければおとなしくしていられないような年齢の子ならば、そのような心配はあまりないのではないでしょうか。
まとめ
あまりにも極端な使い方をするのでなければ、スマホを子供に与えることに罪悪感を感じる必要はないのではないでしょうか。
罪悪感を感じながら、自分のやっていることが悪いことだと感じながらの育児の方が子供にとってずっと悪影響を与えてしまうのではないかと思うのです。
子供はスマホから得られるものもきっとあるはず。
そう信じて、必要な時にはスマホを与えることも問題ないとしたほうが、気分もすっきりするはずです。